フリーダイバー菊本

魚突き、フリーダイビング、息止め、空家再生の話を書いていきます

朝6時に起きてイノシシさばいた話

その日、僕は朝6時に電話の着信音で目が覚めた

 

携帯を見ると近くに住む友達からの電話だった

 

「おはよう」

 

「今からイノシシ捌ける!?」

 

今年三月まで大阪に住んでいた僕は、朝6時の電話で第一声目に『イノシシ』という単語を聞いた記憶は未だかつてない

 

そして、僕は寝ぼけてたせいもあってか反射的に

 

「うん」

 

と答えてしまった

 

集合場所は、辺鄙な山の中

 

猟師がお待ちのようなので、長靴と軍手だけ持って車で向かうことにした。

 

  

猟師と初対面

 

70歳を超えたベテラン猟師だ

 

挨拶もそこそこに、一緒に車に乗って出発することに

 

車で仕掛けたハコアナと呼ばれる罠を見回るとのことである

 

ハコアナというのは

 

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ハコアナ

こうゆう罠だ

 

中に米ぬかなどのイノシシが好きな餌を入れておき、中に入ったら入り口の扉が閉まり、逃げられない構造になっている

 

このような罠が家の周りに10箇所くらい仕掛けてあるそうで、毎日

 

イノシシは捕まってねーかー

 

と、車で見回ってるのだという

 

4つか5つくらい見たか

 

うんともすんとも言わない罠にそろそろ飽きて来た頃、

 

とうとういました

 

イノシシ登場

 

ハコアナの中に仲良く二匹

 

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二匹共40キロくらいのメスで生後1歳にも満たない子供とのこと

 

これくらいのサイズは癖もなく、食べやすくて美味しいらしい

 

しかし、猟師のおっちゃんは

 

「俺はもっと大きい方がイノシシの味がして好きだけどな」

 

と言っていた

 

僕もそのうち違いのわかる男になっていくのだろうか

 

そんなことを考えてた時、おっちゃんがおもむろに儀式っぽいことをはじめた

 

イノシシに向かって米粒を撒いている

 

聞くと、イノシシを殺す前に行う

 

お清め

 

の儀式らしい

 

その時が徐々に近づいてくることに心臓がドキドキする

 

そして、次はイノシシに向かって水を大量にかけはじめた

 

イノシシは罠の中でぶひーっといって暴れている

 

なんか少し怖い

 

水は電気をよく通すらしい

 

今から電流を流して感電させるとのこと

 

おっちゃんは、今までみたことの無い機械を持ってきてスイッチを入れた

 

そして、柵の隙間からイノシシの頚動脈を狙って長い棒を抑えつける

 

ビリビリビリ!!

 

イノシシは動きが止まり痺れている

 

そしてどこからか、おっちゃんの友達がハンマーを持って現れた

 

ビリビリと痺れているイノシシの頭に向かってもう一人のおっちゃんがハンマーを振り落とす

 

どこ っ!

 

鈍い音がして、イノシシは力が抜け崩れ落ちた

 

目は白目を向いている

 

そしてもう一匹も同じやり方で止めを刺された

 

初めて見る光景に僕はドキドキしたが、おっちゃん達は慣れたもん

 

淡々と作業をこなす様子が頼もしく思えた

 

罠からイノシシを取り出し軽トラに乗っける

 

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その後イノシシは解体所に運ばれることとなる

 

解体所についたらスプレーで番号をふる

 

左の41がおっちゃん特有の番号で、右の24、25が今年取れたイノシシの数だそうだ

 

多い人は年間100匹以上取るみたい

 

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東彼杵町では、この写真と尻尾を切って持ってけば役場から1万円の害獣駆除奨励金がもらえるとのこと

 

次はいよいよ血抜き

 

イノシシの足をロープで縛り木の上の滑車に通して片方を軽トラに結び吊り上げる

 

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そして頚動脈を切り、血抜きをする

 

血の出が悪くなったら、水をかけてさらに血を出させる

 

この時の血抜きがその後の肉の味を左右する最重要工程だ

 

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さらに電気ビリビリで体を細振動させ、血をさらに抜く

 

これがおっちゃんの伝家の宝刀らしい

 

確かに電気ビリビリした後血がさらに流れてきた

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血が抜ききったあとは頭を落としてから、皮剥だ

 

このまま吊るしながらやる方法もあるらしいが

 

おっちゃんは下ろしてからやるとのこと

 

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なんか皮が剥がれて寒そうな風貌だ

 

ここからは僕も手伝いに加わったので残念ながら写真はもう無い

 

こっからの工程を簡単に説明すると、

 

皮全部はぐ→内臓だす→内臓は心臓と肝臓だけ残してあとは捨てる→肉はこのままだと水分が多いので部位に分けてから干す

 

作業後

 

おっちゃんからレバーとハツをもらったので、クックパッドのぶたのレバニラ炒めを参考にシシレバニラ炒めを作ったらとてもうまかった

 

レバーは少し癖(シシ特有と言うよりレバー特有の)があるけど、ハツはコリコリして癖も少なく食べやすかった

 

野生の肉っていいね

 

ごちそうさまでした!