ども、フリーダイバー菊本です。
僕は、今までブラックアウトを一度も経験したことはありませんが、サンバなら何度か経験しています。
サンバはブラックアウトの手前、酸欠で体の制御が効かなくなり、震えてしまってる状態のことをいいます。
全然踊ってるつもりはないのですが、面白いネーミングですねw
サンバとブラックアウトの違いは、意識が飛んでしまってるかどうかです。
今回、ブラックアウトを正しく理解することにより、皆さんのリスクを少しでも下げることができれば嬉しいです。
ブラックアウトとは
英語では、blackoutと書きます。
主な意味は、停電、失神となります。
どちらも、急にぷつっと真っ暗になってしまうイメージですね。
今回は、フリーダイビングの話なので失神の方について書いていきます。
ブラックアウトはなぜ起こるのか?
息を長く堪えることにより、脳の酸素濃度が一定以下になることで起きます。
先ほど、僕はブラックアウトの経験はないと書きましたが、正確には、フリーダイビング時においては無いという意味でした。
実は、高校時代、僕らの学校ではブラックアウトごっこが流行っていました。
真似されると、怖いので詳細は省きますが、
一人が、ハイパーベンチレーション(のちに説明します)を行い、もう一人がその人の胸のあたりを壁に10秒ほど押し付ける
というやり方です。
この方法で、僕は延べ20回以上はブラックアウトを経験していますw
途中から慣れてきて、意識的に2秒くらいでブラックアウトできるようになっていました。
ちなみに、落とす役はさらにうまくて40回以上他人をブラックアウトさせることに成功していますw
今考えると恐ろしいゲームをしていたのですが、その経験から言わせてもらうと、
ブラックアウトしてる時間は、
軽度で2、3秒くらい。
重度で20秒くらい
ブラックアウト中の人は、手足がピクピク動いていました。
放っておくよりも、頬を叩いたり、呼びかけたり、息を顔にかけたりする方が早く復活しました。
蘇った人は、完全に前1分くらいの記憶を失っていました。
だいたい、「あれ?俺何でここで寝てんの?」
みたいなことを言ってました。
中には、ブラックアウトは数秒なのに「夢を見ていた」
と言っていた人もいました。
フリーダイビングや魚突きでブラックアウトを経験してる人もこれと同じようなことをいう人が多いように感じます。
ブラックアウトを起こす脳のメカニズムは?
ブラックアウトは、体内の酸素濃度が一定以下となった時に、脳幹によって引き起こされる生命維持行動だと考えられています。
説明します。
生命維持において、一番必要なのは、脳と心臓です。
そして、脳の中でも、脳幹つまり、心臓や呼吸の司令部が最も大切な場所になっています。
体内酸素がかなり少なくなっている状況では、
意識、視界、聴覚、記憶などには一時的にシャットダウンして酸素を送らず、生命維持に不可欠な、心臓と脳幹に数少ない酸素を供給しています。
このように体は判断し、ブラックアウトが引き起こされています。
ブラックアウトを防ぐには
この問いの答えを簡単に言うと無理をしないこと。
となるのですが、もう少し深掘りしましょう。
ブラックアウトは、寝不足、疲れ、不安、焦り、恐怖、緊張を抱えていると発生しやすくなります。
また、意外かもしれませんが、食後に息を止めることもブラックアウトの要因の一つです。
食後は、消化に酸素が使われているため、息持ちが悪くなるからです。
また、ハイパーベンチレーションもブラックアウトの原因だと考えられています。
ハイパーベンチレーションとは
日本語でいうと過呼吸のことです。
息をハアハアと早く深く吸ったり吐いたりすることです。
このような呼吸は、短時間で酸素と二酸化炭素の換気が行われるので、効率が良いように思われますが実は2つの危険性を孕んでいます。
心拍数が上がる
早く深く呼吸をしていると、心拍数が上がります。
心拍数が高いとその分酸素を消費してしまい、結果ブラックアウトしやすくなります。
二酸化炭素を体から追い出しすぎる
このブログでも何回か説明してますが、苦しいと感じるのは、酸素が少なくなってるから感じてるわけではなく、二酸化炭素が増えているからです。
ハイパーベンチレーションにより、息止め前に体から二酸化炭素を追い出し過ぎてしまうと、本来苦しいと感じる時間になっても、息苦しさを感じません。
結果、必要なサインを得ることなくブラックアウトしてしまいます。
ブラックアウトから復活させるには
仲間がブラックアウトしたらどうすればいいのでしょうか?
上で少し触れましたが、陸上ならば、
・呼びかける
・頬を軽く叩く
・息を吹きかける
などを行えばたいていすぐに復活します。
体を思いっきり揺すったり、頬を思いっきり叩いたりは、リスクが高い行為だと言われているのでやめましょう。
水上ならば、
上記のことに加え、気道を確保し続けることが大切です。
もし、マスクなどをしていれば取り外してあげたほうが復活は早まるでしょう。
いずれにせよ、息さえできる環境にあればそのうち復活します。
ブラックアウトをして、そのまま死ぬというのは、かなりレアなケースです。
最後に
僕は、フリーダイバー、魚突きの友達がブラックアウト後に溺死し、何人か亡くなっているのを経験しています。
とても悲しくて何日も泣き続けました。
彼らは、一人で泳いでいて亡くなってることがほとんどです。
2人以上いれば、ブラックアウトしてもそうそう死にません。
一番怖いのは、ブラックアウトではなく、ブラックアウト後、気道が水没し溺死することです。
ダイブは決して一人で行わず、無理をせず、安全にお願いします。
たとえ、直接その人を知らなくても海を愛する仲間が死ぬことはとても辛いことだからです。