ども、フリーダイバー菊本です。
フリーダイバーのみならず、息を止める趣味、職業につかれてる方には必須のテクニックであるリカバリー呼吸について解説します。
これを読むことにより、ブラックアウトのリスクが格段に下がります。
よく読み込んでください!
リカバリー呼吸とは?
英語では、recovery breath(リカバリーブレス)もしくはhook(フック)と呼ばれています。
海女さん、フリーダイバー、魚突き人だけでなく、米軍のパイロットも失神防止のために使用している呼吸法です。
リカバリーというのは、回復という意味ですので、長く息を止めた後に素早く体を回復させるテクニックとなります。
リカバリー呼吸の方法とは
細かく分ければ、相当数あると言われるリカバリー呼吸。
今回は簡単な方法をお教えします。
・口を「ふ」または「h」の形にし素早く息を吸う
・1秒間息を止めつつ、肺のあたりに圧力をかける
・口を「く」または「k」の形にし2秒くらいで息を吐く
・これを3回繰り返す
以上です。
感のいい方ならお気づきかと思うのですが、hの形で吸って1秒待ってkの形で吐くので、フックと聞こえるんですね。
この呼吸がhookと呼ばれている所以です。
リカバリー呼吸は少し長いのでこれからはフックで統一していきます。
なぜ、フックは失神防止になるのか?
方法はわかった。
しかし、それがなぜ失神防止になるのかがわからない。
という方のために、
一般的にやりがちな、「ハアハア」といった浅く早い呼吸と空気の取り込み量、圧力のかけ方の2点で対比して解説していきます。
①空気の取り込み量について
ハアハア呼吸
呼吸を開始し、10秒経過したと考えてください。
この間で、ハアを10回繰り返します。
一回あたりに吸う空気の量は700ccすると
700×10回=7000ccの酸素を吸えたと思われますが、実は全然違います。
体には、口と肺の間に気管があり、ここの容積は150ccほどあります。
図にするとこんな感じです。
この150cc分が曲者で、口から700cc入れても550cc分の酸素しか肺に届いていないのです。
残りの150ccは息を吐いた後、気管内に残った二酸化炭素ですので吸っても意味のない気体になります。
そして次、700cc吐くときには、気管にあった150cc酸素は呼気として吐き切ってしまい、代わりに気管には150cc二酸化炭素が詰まっています。
※酸素→酸素の多い空気、二酸化炭素→二酸化炭素の多い空気とご理解ください
そして、また次の吸気時には、150cc二酸化炭素と550cc酸素を吸うことになるので
10回分で得られる酸素は、なんと5500ccほどの計算になってしまいます。
これは効率が悪そうですね。。
フック呼吸
完全に息を吐き切った状態ではないので、
1回目は1500ccだけ吸えます
息を吐きます
2回目2500cc吸います
息を吐きます
3回目2500cc吸います
3回の呼吸で合計6500ccの酸素を吸ったと思われますが、気管の存在があるので再計算してみます。
まず1回目少し息を吐いた状態から吸い始めるので、気管には二酸化炭素が満たされています。
1500ccから、吸っても意味のない二酸化炭素150ccを引くと
1350ccとなります。
そして同じ要領で、2回目を計算すると、2500ccー150cc=2350cc
3回目も2回目と同じなので全部を合計すると、
1350+2350+2350=6050ccとなります。
まとめます
ハアハア呼吸は、7000cc空気を吸い実際は、酸素を5500ccしか取り込んでない。
フックは、6500ccの空気しか吸ってないけど、実際は、酸素を6050cc取り込んでる。
ということで酸素の取り込み量はフックが優っています。
②圧力のかけ方
フック呼吸は、ふっと素早く空気を取り込んだ後、1秒ほど息を止め、肺に圧力をかけています。
これは、どういった意味があるのでしょうか?
肺の周りには、毛細血管がびっしりと絡みついており、この場所で酸素と二酸化炭素の交換が行われています。
この受け渡しの仕組みは、「拡散」と呼ばれ、肺の中の圧力によって赤血球(ヘモグロビン)に受け渡すことができる酸素の量が決まります。
ブラックアウトが起きるのは、血中の酸素濃度の低下が原因です。
つまり、肺の中にいくら酸素があっても赤血球に受け渡さなければ無意味です。
ということで、フックは肺に圧力を意識的にかけることにより、これを効率よく行なっています。
一方、ハアハアの方は圧力がかかってませんね。
その分酸素の受け渡しがうまく行かず、結果ハアハアは、非効率ということになります。
まとめ
ブラックアウトは誰でもしたくありません。
友人のダイバーの中には、ブラックアウトを経験後トラウマになりしばらく潜れなくなった人もいます。
無理をしすぎないことが、そもそもの大前提ですが、今回ご紹介したようなテクニックを覚え、実践することで、
ブラックアウトのリスクはさらに下がることでしょう!