フリーダイバー菊本

魚突き、フリーダイビング、息止め、空家再生の話を書いていきます

MDMAを食いすぎて死にそうになった話

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この話は、タイのパンガン島で1週間の滞在を終えた後の話となる。

 

僕らおっさん3人が、パンガン島で何をして遊んでいたかというと、昼間はフリーダイビング やスノーケルをして海を堪能。

 

健全な旅かと思いきや、 

 

夜は、MDMAをはじめとする、あらゆるドラッグを口に放り込み続け、時間感覚がなくなったガンぎまりの状態で、ジャングルやビーチをアホみたいに何時間も踊り続けていたのだ。

 

それを1週間ぶっ続けで

 

その間、寝る間も惜しいと遊び続け、とうとうこの日、帰国日を迎えたのだった。

 

 

 

2014年3月パンガン島から船、バスを乗り継ぎスラタニ空港に18時に到着

 

 

スムーズだ

 

 

タイにはめずらしく、時間に正確だ。

 

19時30分のバンコク行きの飛行機の時間には余裕を持ってスラタニに着くことができた。

 

 

腹も減ったし、今回の旅仲間、リー、マーシーとヌードルでも食おうとレストランに入る。

 

  

注文し、しばらくすると

 

 

おや」

 

 

胃に少し違和感を感じる。

 

痛いわけではなく、ちょっと胸ヤケ程度。基本的に僕は胃が弱いので、この程度の刺激は慣れっこなのだ。

 

「ちょっとその辺歩いてくるー」

 

と、しばらく体を動かせば治ると思って、レストランからでてその辺を歩き回る

 

 

腹減りすぎて胃酸が出過ぎてるのかな・・

 

 

30年の自分の経験から、自己分析してみる

 

そんなことを考えながらぶらぶら歩いていたのだが、いっこうに胃の違和感は無くならない、むしろ徐々にひどくなってきている

 

これは少しまずいかなと思って、トイレの個室にこもる

 

痛い

 

本当に痛くなってきた

 

「うー・・あー・・・うあー・・・」

 

自然と唸り声がでてきた。

 

横の個室に誰か入ってるが、もはや気にならなないレベルで痛い

 

本当に痛い

 

下痢とか吐き気とかの痛さじゃなくて、からだの中が焼けるような痛さだ

 

 

そして、プラスアルファやばい状態になってきた

 

息ができない

 

息を吐いても痛い、吸っても痛い。

 

必然的に呼吸が浅く早くなっていく。

 

これではラチがあかないとトイレから脱出。

 

トイレの出口付近で前かがみになりながらはーはー言う、そして小刻みに動き続ける。

 

もはやじっとしていられない。

 

他人の視線は気にしていられない、というか誰か助けてくれ。

 

 

近くにお医者さんはいませんかーーー??

  

レストランにいる友達に助けを言いに行きたいが、そこまで行けない。

 

というか痛い以外何も考えられない。死ぬ前とはこんな感じか、痛さで死ぬというよりは呼吸困難で死にそうだ。

 

何もしゃべれない。そして何も考えられない。

 

もうだめだと思った矢先、

 

「じょうまくん大丈夫ですか??」

 

マーシーが来てくれた。

 

ここでマーシー紹介

 

26歳、京都出身

 

リーの友達、僕は今回5回目くらいに会う。海外初体験、英語はしゃべれない。

 

 

じょう「うー、あー」

 

マーシー「大丈夫ですか?やばいですか?」

 

じょう「うーうー」

 

「いけますか!?」

 

じょう「だ、大丈夫…」

 

 

な、なぜだ・・

 

なぜ大丈夫と言ったおれ!!

 

頼むよおれ!

 

全然大丈夫じゃないんだよ、生まれてから恐らく今が一番痛いんだよ。大丈夫じゃないって言っていいんだよ。

 

海外初めての子がいるからって今だけは強がらなくていいんだよ。

 

この旅で頼られることはあっても頼ることはほとんどなかった故、反射的に大丈夫と言ってしまった・・歳も自分の方が上だし、強がってしまった。

 

本当はマジでやばい。助けてくれというか医者を呼んできてくれ(心の叫び)

 

 

マーシー「大丈夫ならよかったです!!!」

 

ばかか、マーシー!

 

おれの様子を見てくれ!汗を見てくれ!言ってること現実が違うことはよくあるだろ!

 

大好きな彼女に振られたんだってな?→うん、でも大丈夫

 

とかあるだろ!そのパターンだよ、今がまさに。悟ってくれ!おれの複雑な心を読んでくれ

 

 

マーシー「じょうまくんの注文したの来てますよー食べますか??」

 

ばかか!

 

無理なんだよ完全に。

 

食べることはおろか、動くことすらできないんだよ。というか息をすることもできないんだよ。

 

食べれないよもちろん。といかそれどころじゃ全然ないんだよ、死ぬ2歩手前くらいの状態なんだよ。

 

 

じょう「た・食べていいよ・・」

 

マーシー「分かりました!じゃあ食べますね!」

 

もういいよ・・食べてくれ・・素直すぎるよマーシー。こっちはもう死ぬ2歩手前なんだよ。あーまた一人になってしまった。

 

もうだめだ、というか痛い痛すぎる!

 

もう座ってられない。寝転がろう。

 

痛い。

 

じっとしてられない。もがき苦しむ。のたうち回る。

 

うーあーーーーーー!

 

自然と叫び声があがる。

 

痛いよー

 

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい

 

なぜか心の中で謝り続ける。

 

「生まれ変わったら、もっとちゃんと生きます。正直に生きます。みんなのために努力します。」なぜか生まれ変わったことを考える。

 

 

「親孝行します。怠けないです。周りの人を大切にします」

 

なぜか人生の反省が次々と頭によぎる。走馬灯とは違うな謎の人生の反省の嵐。

 

「諦めるな!もう少しだけ頑張れ!大丈夫だ俺!このときのために辛い経験もしてきたんだろ。耐えれば今より強くなれる、頑張れ!」

 

反省が自分自身への応援へと変わっていく。もう耐えるしかない。

 

耐えよう!

 

異国で死ぬのはいやだ、人生の反省は自分の人生でどうにかしよう。来世に託すのはやめよう。というかまだ、若い、今から頑張ろう、人生今からだぞ!

 

もう自分を励ましまくる。

 

おれは耐える、だからおれの異変に誰か気づいてくれ、そして助けてくれ。

 

励ましと、反省が交互に頭に浮かびそれ以上のことは何も考えられなくなっていたとき、

 

「サワディーカー??」

 

良かった。本当に良かった。周りのタイ人が様子がおかしい旅行者に気づいて来てくれた。

 

「うーあーーー、スタマッケイク」「バット、ノットダイアリア」「ノット、ワナボミット」

 

めったに使わない下痢の英語が奇跡的にでてくる。

医者っぽい人も来てくれて、肩をもんでくれる。そしてなぞの青い液体を手に垂らされる

 

 

胃薬か、助かった、食おう

 

 

「ノーノーーーー」

 

 

うん?

 

 

「ウィズヘッドーー、ウィズスタマック」

 

 

ああ頭と腹に塗るのか、とりあえず言われた通りに塗る。あーあースーッとして少し楽になってきた。ありがとうタイ人。助かったよ。いつか恩返しするよ。本当にありがとう。

 

少し考えれるようになってきた。今後どうすればいいんだ。

この状況なら、ギリギリ飛行機に乗れる。

とうか友達はどこだ、どれだけ時間飯を食ってるんだ。少し楽にはなったが、基本的に痛いから目をつぶって耐えてるしかない。

 

うーー

 

 

「じょーちゃん、大丈夫け?」

 

あ、リーの声だ。

 

 じょう「い、いやかなりやばい」

 

 

リ「じょーちゃんこんな状態やのに、なんでおれに言わんのや、マーーーシーーー!!」

 

 

マ「いや、僕が聞いたときは大丈夫って言ってたので・・・」

 

 

リ「大丈夫ちゃうやろ、すぐ言えやーーー!」

 

 

マ「で、でも・・」

 

 

リー君気持ちはわかるけど、とりあえず今は落ち着いて・・

というか大声出さないで・・痛さが増してきたから・・もう過ぎたことはどうでもいいよ。

 

今が大事だから、とりあえず痛い・・

 

うわー本当に痛くなってきた。この痛さは波がある。徐々に大きさを増してくる。もうでも耐えるしかないんだ。頑張れ、おれ!いや、もうだめだ!あきらめるな、頑張れ!いや、よく頑張ったよ・・

 

 

諦めと励ましが交互に頭をよぎる。

自分の中の二人が何か言い合ってる。

 

 

リー「飛行機のれるけ?」

 

じょう「乗る5分前に教えて、その時判断する・・」

 

 

気付かなかったが、まわりがすごい騒ぎになってる。タイ人が10人くらいに増えている。そして車椅子が用意されてる。

 

 

タイ人「リラックス、リラックス、ユーキャンゴープレインラスト、ノープロブレム」

 

 

少し安心した。最後に車椅子で運んでくれるのか。それなら戦えそうな気がする。すこし安心して痛い以外の思考が戻ってくる。

 

 

ところで、原因はなんだ?

 

 

何かにあたった痛さではないし、体験したことのないこの焼けるような痛さ。原因はなんだわからない。

 

なんだ、なんだ?

 

 

 

 

ひとつの仮説が頭をよぎる

 

今日の昼間のダイビングかも?もしかして?

 

昼間自分の未知の記録となる-30メートルを素潜りしたことを思い出した。

 

フリーダイビングを今年から初め、冬のあいだは8メートルのダイビングプールで練習していたため、今回海が初めてだったこともあり、ちょっとテンションがあがりすぎていたのか。

 

パンガン島の周りで一番深いといわれてるところまでわざわざカヌーを漕いでいき、地底まで4、5回ダイブしたのがまずかったのかもしれない

 

そうだ、思い出してきた。肺は-100メートルの水中ではピンポン玉の大きさになると何かの本で読んだことがあったな、通常がラグビーの大きさだから、-30メートルならりんごくらいか

 

こえーーーー

 

いまさらになって後悔してくる

 

てことは無理して、横隔膜と肺が剥がれたのかもしれない。というか絶対そうだ。そしたら全てつじつまが合う。この息ができないのも、体が焼けるように痛いのも全部それが原因だ

 

 

ごめんなさい、海さん、甘く見てごめんなさい。ぼくなんて海からしたら、ただのゴミクズです。イッチョ前に海さんに挑もうとしてすいません。謝るので許してください!泣

 

あと色々人生甘く見てごめんなさい。反省します。もう、甘く見ることはやめます。全て慎重にいきます。命を大切にモードに切り替えます。だから許して。

 

原因がわかってだんだん怖くなってきた。

※素潜りは関係なくMDMAが原因と後ほど判明 

 

横隔膜と肺がはがれたなんてやばすぎる。こわい、こわすぎる。とりあえずタイ人に伝えなくては。でも、横隔膜って英語でなんだ?ハラミは絶対違うし、肺すらわからん。レング?ラング?Lからはじまることしかわからない。もうだめだ

 

 

じょう「オーバースタマックイズペイン アンド セパレイトレング」

タイ人「イエスイエス」

 

だめだ。

 

たぶん理解されてないだろ。痛さでいかれたと思われてるだろう。もうだめだ耐えるしかない。横隔膜と肺が割かれてるんだからもう何もできない

 

 

リ「じょうちゃん、いけるけ?」

 

気づけば乗客は、みんな飛行機の中に入ったようで、残されたのは我々とタイ人10人あまりという状況。

 

立ってみる。お、痛さは変わらない。もう飛行機に乗るしかない。1時間半耐えて、バンコクの病院に行こう。この田舎よりの生き残る可能性が高い。

 

 

奇跡的に合理的な判断が下せた

 

じょう「よし、行こう」

 

車椅子に乗せられて、飛行機の中へ、床の少しの段差で激痛がいちいち体を巡る。バリアフリーの大切さを肌で感じる。

もう選択肢は無くなった。あとは耐えるのみ、目をつぶって耐え続けよう。この痛みが後の自信につながる。もう行くしかない。そして、ゆっくりと飛行機は動き出した

 

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飛行機の中激痛に耐える - フリーダイバー菊本